トップメッセージ
サステナビリティ
事業転換と組織改革で新たなステージへ
当社を取り巻く事業環境が大きく変わりゆくなか、変化の波に乗り遅れないように長期的な視点での方向性を示す必要があると考え、2022年に長期ビジョン「ISHIZUKA GROUP 2030」を公表しました。
このビジョンのなかで推進してきた大きな変革の一つが、市場の縮小によって見直しを迫られていた、祖業であるガラス事業の再編です。
ガラスびん事業は、2022年12月に主力工場であった姫路工場での製造を停止し、岩倉工場1工場体制とし、新たなスタートを切りました。また、ガラス食器事業は岩倉工場の炉を改修し、すでに1炉体制で新たなスタートを切っています。
あわせて組織のあり方も見直し、これまでカンパニー制のもとで別々の事業として運営してきた「ガラスびんカンパニー」とガラス食器事業を営む「ハウスウェアカンパニー」を「ガラスカンパニー」として統合しました。これにより組織のスリム化を図るだけでなく、ガラスびんとガラス食器に分かれていた双方の市場をガラス素材という広い視野でとらえることも可能になり、変革に向けてよりいっそう踏み込める土台を整えました。財務面においても組織の合理化による収益の改善は、事業に好影響を与え、環境が変化していくなかスピーディに事業を展開するための素地が整いました。
大きな変革のもう一つが、ガラス事業から環境に配慮したPETボトル用プリフォーム事業への転換です。単純に「ガラス」から「PETボトル用プリフォーム」へというだけではなく、脱炭素社会の実現に向けた社会からの要請に応え、PETボトルの再利用へ積極的に取り組んでいく必要があると考えました。今回の事業再編でガラスびん姫路工場の跡地はPETボトル用プリフォーム関連の工場として再スタートしました。生産過程で多くのエネルギーを消費する当社にとって、CO₂排出量削減は何よりも率先して取り組まなければならない重要課題ととらえています。環境配慮の観点からこの新工場では建屋の屋根に太陽光パネルを設置したほか、再生PETボトル用のプリフォーム製造工程に全く新しい工法を導入することで製造過程での大幅なCO₂排出量削減を実現するとともに、お客さまからの期待に応えることに大きく寄与しました。PETボトル用プリフォーム事業は、引き続き当社グループの成長エンジンになると見込んでおり、今後も環境影響を十二分に配慮しながら増産体制を整えていきます。
こうした一連の変革によって当社は、環境配慮の面でも一歩ずつ前進を続けることで、企業として新たなステージに上がりつつあると手応えを感じています。
「石塚硝子グループ人権方針」の公表
企業が果たすべき社会的責任は、環境への配慮だけではなくより広範囲におよびます。その一つが人権への配慮です。
企業の人権に関する取り組みの重要性が増すなか、人権尊重の取り組みを明文化し、社内に共有するのはもちろんのこと、メッセージとして広く社外にも示していくことで、初めて人権に対する企業の基本姿勢が世の中からの理解を得られるものと考えました。そのため2023年から人権ワーキンググループを立ち上げ議論を重ね、2024年5月に「石塚硝子グループ人権方針」を公表しました。これからも、当社グループ全体で人権を尊重し、責任を果たしていくためにこの方針を、社内に浸透させながら徹底します。
DXで組織風土改革に取り組む未来挑戦部
将来を見据えた変革を実現するために、当社はヒトづくりにこだわってきました。少子高齢化が進むなか、若年層の先細りも進み、今後はこれまで以上に長期的な視点に立った人財育成に力を注がなければ会社の持続的な発展はあり得ません。
会社の10 年後、20 年後の鍵を握るのは、若い従業員の成長です。当社は2022 年に若手社員に責任と権限を委譲して、彼らの自発的な成長を促すことを目的とした組織横断的な部門「未来挑戦部」を立ち上げました。部門の報告会には私も統括責任者として参加していますが、発足3年目を迎え、こちらから指摘するまでもなく全社的な課題を彼ら自身がしっかりと把握して議題にかけ、解決に導くための具体策を活発に議論できるようになりました。その過程で責任が芽生え、視座を高めながらビジネスパーソンとして一回りも二回りも逞しくなってきた のを実感しています。それは、同じく若手・中堅社員の育成を目的に実施している戦略リーダー研修においても参加者と対話するなかで感じます。2024年度には中期経営計画の3つの目標に加えて、社内のDXの推進を目標として新たに加えました。現在それを未来挑戦部のメンバー主導で推進しています。他社と比べて遅れを取っている分野だけに彼らの責任は重大ですが、斬新なアイデアで会社を変革していってくれると信じています。
このチャレンジは周囲の従業員にとっても大きな刺激になります。挑戦する精神を周りにも伝播させながら会社を底上げし、未来の石塚硝子グループを背負って立つリーダーに育ってくれることを期待しています。
「あってよかった、勤めてよかった」と言われ続ける企業であること
当社は事業環境の変化に対応しつつ、人財を大切にする企業文化を維持しています。社内の風通しがよく、人間関係も良好で、当社の歴代OBの間では「勤めてよかった石塚硝子」というフレーズが使われています。この文化を引き継ぎ、現従業員や新入社員が将来「石塚硝子に勤めてよかった」と言ってもらえるような企業であり続けることを目指します。
もちろん、社会からも必要とされる企業だと認められるよう力を尽くします。当社が手掛ける飲食料の容器類は中身がなければ意味のないものばかりですが、その容器があるからこそ飲料や食品は消費者の口に届きます。その意味では、当社は社会に欠かせない存在であり、当然、お客さまの要望や社会からの期待に応え続けることが、存続につながるととらえています。
創業当時から続く当社のアイデンティティ「誠実」を拠り所に、世の中の声に真摯に耳を傾けながら愚直に前進していきます。そして、縁の下の力持ちとして、いつまでも皆さまの暮らしを彩り、豊かにします。
お客さまからは「石塚硝子があってよかった」と言っていただけるように、一緒に働く仲間からは「石塚硝子に勤めてよかった」と言われるような企業にしてまいります。